多くの古着屋さんが軒を連ねる下北沢で、今回ご紹介したいのが「e’s yarn」という古着屋さん。
「僕は日本一不器用な古着屋の店主なんです」
お店を初めて訪れた際、オーナーである江邉良介(エベリョウスケ)さんが話してくれたこの言葉に、僕は興味津々になってしまいました。
その言葉に秘められた想い、古着やお店のこだわりなどを皆さんにお届けします!
目次
e’s yarnについて
「e’s yarn」はオーナーである江邉良介さんにより、2018年にオープンした古着屋です。
お店は下北沢駅(京王井の頭線・小田急線)から徒歩2分とアクセスも良く、鎌倉通りから路地に入った静かな場所にあります。
店内を彩る数々のアイテムは主にアメリカのポートランドやシアトル、サンフランシスコやロサンゼルスなど、オーナーの江邉さんが現地で直接買い付けてきたものばかりです。
メンズとレディースの両方を扱っており、80年代~90年代を中心にしたセレクト。
クラシカルからカジュアルなアイテムまで、幅広いジャンルの古着が揃っています。
洋服はもちろん、帽子やピアスなどの小物も充実しています。
店内は明るく、男性はもちろん、カップルや女性一人でも足を運びやすい気軽さが嬉しいです。
江邉さん自身が現地を直接訪れて仕入れているため、一つひとつのアイテムに対する想いが深いのもこのお店ならではの魅力。
質問をすれば、その洋服に出会った際のエピソードも聞かせてくれるかも…?
時間をかけてゆっくり選べるからこそ、ご自身の大切な一着に出会えるはずです!
また、お店で流れる音楽は、奈良で一つずつ手作りされている「listude(旧sonihouse)」のスピーカー。
スピーカーは「多面体・無指向性」といい、どの場所にいても同じように音が聴こえるのが特徴です。古着を扱うお店でこのスピーカーがあるのは珍しく、音楽好きの方も一度は足を運んでもらいたい空間になっています。
あと、古着以前に、洋服を探す上で大事なのが「サイズ選び」です。
僕は身長187cm・体重88kgなのですが、体が大きい方でも着こなせるアイテムもたくさん揃っています。
サイズ選びが難しい方でも、e’s yarnでしたらご自身に合う一着に出会えるかもしれません。
「日本一不器用な古着屋の店主」とは?
冒頭でも触れた「日本一不器用な古着屋の店主」とは、良介さんご自身の几帳面な性格を意味しています。
特にそれが現れているのが店内の様子。
ここまで丁寧に折り畳まれたデニムやシャツ、一着一着がきれいに並んだラックは、他ではなかなか見られない光景ではないでしょうか?
「几帳面だからつい畳みたくなっちゃうんです」と良介さんは笑いますが、その言葉の裏には常にお客様と向き合う姿勢が表れている気がします。
また、お店は古着屋さん特有のニオイがほとんどしません。
その理由も、良介さんが洋服を丁寧に洗ったりアイロンをかけたりしているからです。
単なる古着屋ではなく、セレクトショップのような洗練された印象を感じられるのが、洋服への愛が深い良介さんならではの魅せ方なんだと思います。
e’s yarnオーナー「江邉良介」さんをご紹介
e’s yarnオーナーの江邉良介(エベリョウスケ)さんは大阪のご出身。
ご両親や当時の学校の先輩からの影響もあり、Eddie BauerやGAP、LANDS’ END、VANSやCONVERSE(コンバース)など、古着やヴィンテージのスニーカーなどに興味を持つようになったそうです。
文化服飾学院を卒業しユニクロの社員として勤務後、ご自身のお店「e’s yarn」をオープンされました。
古着屋での勤務は未経験とはいえ、お店のアイテムはどれも当時のステキな古着ばかりです。
独自の目線からセレクトを行い、買付はご自身が現地を直接訪れるなど、良介さんが人一倍の行動力で洋服と向き合い続けている姿勢がお店から伝わってきます。
オーナーインタビューでe’s yarnをもっと知る
オーナーインタビューでは、店名の由来やセレクトのこだわりなどを伺いました。
良介さんの洋服に対する溢れんばかりの想いを知っておくと、お店で過ごす時間がもっと楽しくなるかも?しれません!
店名の由来は何ですか?
まず、yarnには「糸・紡ぐ・物語」という意味があります。
洋服は糸を紡いで完成するものです。そして当時着て暮らしていた人がいて、時代を経て「古着」となり、残り続けてくれたものを僕が現地で探しています。
お店のアイテムは、僕がこだわりを持って選んできたものばかりです。どのアイテムにも出会ったときのエピソードや仕入れの想い出などがあり、一着一着に込めた想いが洋服に物語(ストーリー)を生み出します。
古着を楽しみたい方と接する立場として、「古着」という洋服に込められた物語をお届けしたいと常に思っています。
また、辞典で直接意味しているわけではありませんが、僕はyarnという言葉に「つながり」という意味を持たせています。
糸を紡いで作られた洋服が時を経てお店に並び、古着を求めるお客様が足を運んでくれる。洋服と人がつながる場所。それが僕の作るe’s yarnです。
e’sは僕の本名「江邉(エベ)」の頭文字から取りました。
お店を通じてつながる皆さんへ、洋服と向き合ってきた自分の物語を届けたいという想いも店名に込めています。
買付はどうされているんですか?
買付は主にアメリカの西海岸が中心で、シアトルやポートランド、サンフランシスコやロサンゼルスなどを直接訪れています。
たくさんの古着が集まるスリフトストアはもちろん、現地の古着屋にも行きますし、地元で開催されるフリーマーケットで古着を選ぶときもあります。
写真のスニーカーは、80年代のconverseです。
マーケットのショップの子が履いていたもので、一目惚れして頼み込んで譲ってもらいました。
現地に自分が直接行くことで、思いがけない出会いや仕入れが実現しているのかなと思っています。
どんな想いで古着を探しに行ってるんですか?
買付でいつも意識しているのは、「お客様の顔を思い浮かべること」です。
お店に並ぶアイテムは、どれも「着てもらいたい」「着させてあげたい」という基準で選んできたものばかりです。
ときには現地の人に着てもらい、イメージを膨らませるときもあります。
やはり自分が大切に選んできたものですから、たくさん着て長く使ってほしいですね。
いずれは僕のところで買った洋服で、その方のクローゼットが満たされるようになったら嬉しいなといつも思っています。
「古着」のおもしろさはどこにありますか?
選んできている古着は80年代~90年代が多いのですが、その時代ならではの豊富なカラーバリエーションが気に入っています。
特にアメリカの場合は、カジュアルブランドが台頭していた時代でもあり、カラーやデザインにこだわった洋服がたくさん作られていました。
あと、例えば絶妙な色のかすれや生地の柔らかさなど、着込んだり洗い込んだりして生まれる風合いは、新品ではなかなか作り出せません。
着たときにスッと体になじみ、着こなせるというのも古着ならではの魅力です。
お店の空間のこだわりは何ですか?
実はメンズとレディースでラックの高さを変えています。
ほとんど気づかれませんが……笑。
平均身長の方がちょうどいい目線になるように、ラックの高さを意識しています。
売場づくりのスキルは、ユニクロで働いていた頃に磨いてきました。
せっかく足を運んでくださったからには、時間をかけて自分だけの洋服を選んでほしいなと思っています。
だからこそ、「洋服を見やすい高さ」「洋服を見やすい畳み方」にこだわって、店内をレイアウトしています。
古着屋を経験せずの独立に不安はありませんでしたか?
僕はゼロからスタートした分、最初は買付や輸入が大変でした。
でも、「経験がないからできない」というわけではありません。
古着屋を経験している方が、独立前に買付や店舗管理などを学べるのは事実です。
僕は古着屋での経験はありませんが、新品や古着を問わず多くの洋服に触れ続けてきました。
だから、そのようなハンディキャップは必ず埋められると考えていたんです。
そしてありがたいことに、オープンから多くのお客様に支えられて、今のお店があります。
「古着屋を作りたいけれど自分には無理」と、壁や葛藤を感じて悩む方もいるかもしれませんが、そういう方にこそ自分の姿を見てもらいたいです。
「古着屋の経験がなくてもお店は作れる」ことを、お店を通じて感じていただけたら嬉しいですね。
古着を選ぶポイントってありますか?
まず、とにかく試着してほしいです。
「着ていいのかな?」「お店に迷惑じゃないかな?」と思わず、気になるアイテムがあったら気軽に声をかけてください。
着ることで実際の印象がわかりますし、今まで着てこなかったようなアイテムがしっくり来るなど、新たな自分のスタイルに出会えるチャンスでもあります。
あとこれは古着に限ったことではありませんが、流行とかに左右されず、もっとご自身の直感や興味を大切にしてもらえたら嬉しいです。
周りの目をあまり気にせず、「自分のファッション」「自分の個性」を大事にすると、洋服選びや着て過ごす時間がもっと楽しくなリますよ!
「レディース」にも力を入れているそうですが?
レディースはメンズに比べて、ワンピースやブラウス、スカートなどのジャンルが幅広く、いろんなアイテムがあります。
ユニクロで働いていた頃はずっとレディース担当していたので、男性ながらレディースの洋服をたくさん見続けてきました。
仕入れではまずレディースのアイテムから探すなど、メンズはもちろんですがレディースの仕入れにも力を入れています。
サイズ感には特にこだわり、日本人でも十分に着こなせるものを選んできています。
スタイリングの提案もできるので、女性一人でも安心して洋服を見に来てほしいです。
お店へ来る方へメッセージをお願いします!
下北沢にある古着屋としては、e’s yarnは少し意外な場所にあります。
近所にはビオ・オジヤン・カフェやカレー屋のYOUNG、さまざまなお店が集まるBONUS TRACKなどがあり、下北沢の喧騒から少し離れて、落ち着いた時間を過ごせると思います。
「古着」は流行やデザインに左右されるものではありません。
流行などを気にせず、もっと純粋に洋服を楽しむきっかけになれば嬉しいです。
そして、お店で買った古着を着てその日がとても幸せな気分になったとしたら、それほど嬉しいことはないですね。
お店に並ぶ洋服たちは、どれも「着てもらいたい」「着させてあげたい」という気持ちを大切にして選んできたものばかりです。
これからも衣装部屋(ご自宅のクローゼット)のような当店で、洋服を楽しんで選んでいただける時間を提供できたらと考えていますので、ぜひ自分だけの一着を探しに来てください!
店内写真
お店のさまざまなアイテムを見てるだけでも、ワクワクしてきます!
ぜひ実際にお店を訪れて、この空間を楽しんでみてください!
改装でe’s yarnがアップデート
良介さんから「店内が少しだけ新しくなったよ~」とご連絡いただき、見に行ってきました。以前の取材当時は冬物中心の店内でしたが、今回(2023年8月)は夏物がいっぱい。
店内の変化や良介さんから聞いたお話も合わせてお届けします。
今回内装を一部変えたとのことですが?
今回、レジ裏からフィッティングルームまでのスペースを白壁から板張りに改装しました。
買付に行く傍ら、現地のコーヒースタンドやインテリアショップも巡るのが好きで、そうした空間のエッセンスを自分の店にも取り入れたいとずっと思っていました。
買付はアメリカの西海岸が多いですから、そこの街に根ざしたコーヒースタンドのようなイメージにしたかったんです。
そこで今回の改装で、自分の理想の空間にまた一歩近づきました。開店から丸5年が経ちましたが、これからも自分の洋服に対する想いと一着ずつ手に入れてきた古着をお客様に届けたいですね。
今回の買付はどうでしたか?
今回は6/21~7/6でお店を閉めて、約1年ぶりにシアトルからポートランドを巡って買付してきました。
現地のマーケット独自の空気感、ショップ店員の雰囲気を肌で感じて、「皆さんに着てもらいたい!」と思える古着たちを選んできました。
やはり今回も、レディースならではのカラーバリエーションの豊富さ、80s~90sならではのディティールを感じられる古着を見つけることができました。
他の人と被らないけれど、軽やかに自分らしく着られる一着がたくさん揃ってますので、ぜひ皆さんの毎日が心躍るような古着選びをお手伝いできたらと思います。
メンズにおいても、Tシャツ・シャツ・パンツともに、さまざまなブランドから良質な一着をセレクトできました。
見た目の良さはもちろんですが、素材にも目を向けて買付をしています。例えば、リネンのシャツならアイリッシュリネン100%、コットンリネンの混紡を探してみるなどなど。
皆さんの着心地の良さにもこだわってますので、その古着の良さや買付についてなど、話したい想い出がたくさんあるのでぜひ何でも聞いてほしいです!
そういえば、手づくりのバッグがあるんですよね?
友人のエミちゃんが作るバッグのことですね。
受注から、彼女がひとつずつ手作業で丁寧に作っています。
30色から選べるバッグは、肩に掛けてもいいですし、巾着みたいに持ち運ぶこともできます。
かわいらしいデザインですが、女性だけでなく男性からのオーダーも増えていて、少ない荷物でサッと街歩きできる必需品になってくれると思います。
店内に完成品はもちろん、バッグに使われている生地をカラー別にまとめた見本帳も置いてますので、ぜひ豊富な選択肢から自分だけのお気に入りのカラーを見つけてください。
(追記)僕も今回お店で買い物してきました✨
僕個人の話ですが、都内で一番信頼している古着屋さんがe’s yarnです。ご自身で現地を訪れての買付、一着ずつに秘められたストーリーを聞かせてもらうだけでも、その古着をずっと大切に着たいと思えるからです。
今回購入したのは、banana republic(バナナ・リパブリック)の80sの半袖シャツ。カラーリングと柄のバランスに惚れてしまいました。
おそらく番手の数字が大きく、細い糸が使われていて、コットン100%ながら手触りがなめらかで、少し透け感もある涼し気な装い。
これから大切に着させてもらいます!
本当に自分だけの一着を見つけられる、セレクトショップのような古着屋さんがe’s yarnの魅力ですので、お店に足を運んでみてはいかがでしょうか?
まとめ
「洋服を通じていろんな方とつながりたい」
「e’s yarnのyarnには、糸・つながり・紡ぐ・物語という意味があるんです」
この2つはインタビューを通じて、特に印象的だった良介さんの言葉です。
e’s yarnというお店から伝わる独自の世界観は、良介さん自身の洋服に対する想いが表れており、まさに古着に込められた物語が洋服好きを惹きつけている場所でもあります。
古着が好きな方はもちろん、これから古着を知りたい方にもオススメのお店です。
ずっと長く着られる、自分だけの特別な一着に出会ってみませんか?
店舗情報
店舗に関する情報は以下のとおりです。
Instagramも随時更新中とのことですので、ぜひご覧ください!
e’s yarn | |
住所 | 東京都世田谷区代田5-35-26 1-A |
営業時間 | 月~火 木~土 13:00~20:00 日 13:00~19:00 |
定休日 | 水 |
電話番号 | 03-6677-4620 |
お店の最新情報は以下のリンクから。
参考 e’s yarn 公式Instagramhttps://www.instagram.com/esyarn/