声質や声の高さが異なる男女の歌声が重なると、そこには美しいハーモニーが生まれます。
今回ご紹介する『世界』は、シンガーソングライターLUCAと、音楽家haruka nakamuraによるarcaというプロジェクトの元にリリースされた1stアルバム。
聴く人をどこか遠くへと導くかのような神秘さに包む、二人の優しい歌声の世界を皆さんにお届けします。
目次
arcaとは
arcaは、京都在住のシンガーソングライターLUCAと音楽家haruka nakamuraの二人による新ユニットです。
メインボーカルはLUCAですが、ピアノ兼ボーカルとしてharuka nakamuraが声を重ね、二人の歌声が見事な調和を奏でています。
特に、haruka nakamuraがボーカルとして参加している作品は、おそらく今回が初めてではないでしょうか?
アルバムに収録されている13曲は、いわゆるインストが一切なく、すべて歌声をベースとする曲の構成になっています。
なかには、日本を代表するトラックメイカーの故nujabesが、生前のうちにharuka nakamuraに託した8小節のトラックをリメイクした曲や、STARDUSTというアルバムに収録されていた八星という曲のアレンジなど、そのメロディーの幅広さに驚かされる作品になっています。
アルバム『世界』について
アルバムジャケットの表面を見ると、向き合う男女の姿に大地に根を張る木、そして海や夜空に輝く星座や星々が見て取れます。
二人の歌声を聴きながらだと、アルバムジャケットからは調和や宇宙の広がり、自然の美しさや壮大さなど、さまざまなことを想像させてくれます。
この美しいアートワークを手がけたのは、画家の熊谷隼人さん。
生命をモチーフにした絵を書き続ける熊谷さんだからこそ、想像力をかき立ててくれるようなアートワークになったのではないでしょうか?
CDのディスクや一体型となっている歌詞カードの表紙からも、思わず満点の星空を見上げているような美しいデザインが伝わってきます。
録音とリマスタリングは山梨在住、Studio Camel House のオーナーでありギタリストでもある田辺玄が担当。
リリースはシンガポールのレーベル KITCHEN LABEL から。
リリースされるアルバムは、どれも美しさやセンスがあり、アーティストの想いもきちんと込められている作品を世に送り出し続けているレーベルです。
アルバムのオススメ曲(私的)
13曲はそれぞれ、作詞や作曲はLUCAとharuka nakamuraのどちらかが担当、もしくは共作になっています。
二人のアーティストを中心に、さまざまな方の想いが一つになったアルバムと言っても過言ではありません。
では、個人的にオススメの曲をご紹介していこうと思います。
01 船出
1曲目の船出は、旅立ちと新たな始まりをテーマにした曲。
冒頭の歌詞の言葉は2回ずつ繰り返され、そこに独特のリズムが生まれています。
全体を通して儚さがあり、それは旅立ちの不安と希望の両方が折り重なったようなイメージを思わせてくれます。
岸を離れた船が海面を滑るように進んでいき、地平線の彼方へとその姿を小さくしながら遠ざかっていくような情景が目に浮かぶかのようです。
03 SUN DANCE
3曲目の SUN DANCE は、haruka nakamuraと親交のあったnujabesによる8小節のトラックをアレンジして、今作として蘇らせたもの。
特に、歌詞の切れ目の間に流れるメロディーが、確かにnujabesを思わせるような、どこか午後の温かさを感じさせてくれるようなニュアンスになっています。
07 八星
八星といえば、兵庫の篠山にあるrizmというショップのために作られた、「stardust album」に収録されている書き下ろしの楽曲です。
今作ではそれがギターアレンジされています。
ピアノ版より軽快さが増しながらも、歌詞と歌詞の間にある余韻は変わらず、儚さを感じさせながらも力強さが伝わってくるかのような曲です。
カードには歌詞も記載されており、「八星の歌詞の意味はこうだったんだ!」と改めて気づくことができました。
8曲目に続く STARDUSTもメロディーラインは八星ですが歌詞が異なり、アンビエントによる独特の浮遊感が漂っています。
12 世界
12曲目の世界に流るメロディーには、この世界の神秘や畏敬の念が込められています。
歌詞によって変わるソロパートを主体に、サビ部分は二人の歌声が重なり、そこには今日一日の感謝と明日へと続いていく希望のようなものも伝わってくるかのようです。
歌詞には「君」という言葉が多く出てきますが、君というのは実は自分自身にも当てはまるのではないのか?と、思わず考えてしまいました。
まとめ
LUCAとharuka nakamuraによる新ユニット、arcaの1stアルバムの世界をご紹介してまいりました。
ボーカルとピアニストというこれまでの関係性が調和し、二人で一つとして生まれたのが今作だと思っています。
二人の美しいハーモニー、それはまるで、なんてことなく過ぎていく毎日に、ほんの少しだけ小さな明かりを灯したかのような優しさで、心がスーッと浄化されていく気持ちになります。
そして、明日への一歩を進むための希望をもらえるかのような作品ではないでしょうか。
アルバムの購入方法について
アルバムは、アマゾンやタワーレコードなど、CDを扱うさまざまなショップでの購入が可能です。
以下、アーティストのオンラインショップでも販売されています。
参考 haruka nakamura オンラインショップhttps://shop.harukanakamura.com/items/35236773 参考 LUCA オンラインショップhttps://shop.lucadelphi.com/items/35524775ぜひチェックしてみてください!